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?B 割賦販売法においては、クレジットカードの交付時、商品の販売時、代金の請求時にそれぞれ契約内容を記した書面の交付が販売業者やクレジット会社に義務づけられている。しかし、電子商取引における書面交付を義務づけることは電子商取引の利便性を著しく損ねる可能性もあり、消費者の利益を害さない範囲の代替手段の可能性について検討する必要があるのではないか。

 

?C また、クレジットカード番号取得を目的とする架空の販売業者や第三者によるクレジットカード番号の盗用などにより、それによる偽造カードの作成などにより、消費者が莫大な損害を被る恐れが大きくなることから、暗号化や本人認証をはじめとしたセキュリティ対策が必要となる。また、加盟店の方からカード番号が漏れるような事態も考えられ、加盟店の認証も併せて検討する必要がある。

 

?D さらに、現在のクレジットカード盗難保険は、カード現物の紛失・盗難を対象にしており、カード番号の漏洩に伴う損害については対象となっていない。このため、クレジット番号の盗用に伴う損害のリスクに対する保険による担保等の在り方についても検討する必要があるのではないか。

 

?E 電子商取引では、商品の販売が簡易に行われるようになるため、販売業者としては、小規模事業者が多くなると考えられる。しかしながら、クレジット会社としては支払停止の抗弁を受容していることもあり、店舗販売業者に比べて、通信販売業者には加盟店審査が厳しく、またリスク負担についてもより重い負担となっている。さらに、同様の理由により、自営業者などの小規模事業者との加盟店契約も難しくなっている。これらのことがクレジット決済を希望する小規模事業者に参入障壁になることも予想されるほか、加盟店になれない人を対象に名義貸しを行いトラブルが発生するという事態も考えられるが、こうした事態に対する実務的対応も必要ではないか。

 

?F 上記の論点を含め、電子商取引におけるクレジット決済の制度的・実務的問題については、日本クレジット産業協会における検討及び電子商取引実証推進協議会における各種実験とワーキンググループでのより詳細な検討の成果が期待される。

 

 

 

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